涙の数だけ強くて頼られるプロになっていく

早稲田大学大学院商学研究科にて財務会計論を専攻。
「話すこと、聞くこと」が好きで、アドバイザーとして多種多様なクライアントと関わるコンサルティング業界に興味を持ち、2009年、PwCアドバイザリー㈱(現PwC)に新卒で入社。以降6年半に亘りDeals内のBusiness Recovery Servise(事業再生部署)にて、業界業態を問わず再生案件に従事

学生時代は、コンサルタントという職業を知らなかった佐藤永織さん。大学院のビジネススクールで現在の自部署のシニアアドバイザーである田作氏と出逢ったことが、PwCへの入社のきっかけとなりました。現在は、窮地に追い込まれている会社と一緒になって事業を再生したい、という強い想いで仕事に取り組んでいます。そんな佐藤さんに、苦労の数だけ成長してきた軌跡を伺いました。

いくつもの成功体験と
チームのサポートに支えられて育ってきた

PwCに入社されたきっかけや目標は?

大学院時代に先輩から”コンサルタント”という職種と”PwC”という会社を教えてもらったのが全てのきっかけでした。大学院のビジネススクールで教鞭をとる”田作先生”(現在の自部署のシニアアドバイザー)の授業を受けたい一心で、出席取りのバイトという形で事業再生論の授業にも潜入しました。そして、この聴講をきっかけにして、様々な形でクライアント企業と関われること、その業務には無限の幅や可能性があると感じたことで、”事業再生”という分野こそが自身の進むべき道と決めました。就職活動のときには、何社かの内定はもらっていましたが、やはり第一志望だったプライスウォーターハウスクーパースアドバイザリー株式会社の事業再生部隊に入りたいと思い、なかなか内定通知をくれない当社に自分から電話をかけて合否を訪ねたりもしました。

もっとも印象に残っている成功体験は?

案件のたびにその大きさは違いますが、様々な成功体験をさせてもらっています。
その中で、PwCというチームとしての「成功」と言える案件は、企業のソフトランディング(清算)とそのための資産売却案件です。「事業再生」といっても、毎回再生することだけがゴールではないと身をもって感じた案件です。案件開始時は、事業性を診断して望みを繋いで再生を目指していましたが、最終的には事業を撤退し、飛び火を最小限に抑え会社を前向きに清算することを選択しました。
クライアントだけではなく、様々な意向を持つ利害関係者との折衝や合意形成を一手に引き受け、PwCの持つ内外のリレーションを最大に活用して、どんな場面でも対応できる布陣で臨めたことは、改めて私にPwCの強さを教えてくれました。
そして何よりも、まだまだ未熟な私をクライアントの一番傍で思う存分働きなさいと投げ込んでくれたチームのサポートが嬉しかったです。
クライアントニーズを常に先取りし、案件を繋いで繋いで、まずはPwCに相談するのが「安心」という気持ちを逃さなかったことが成功の鍵だったと思っています。

コミュニケーション能力を磨いて
チームからもクライアントからも信頼される存在になる

もっとも苦労されたエピソードは?

不思議なことに、しばしば聞かれる新入社員の悩みの一つである、「思っていた仕事と違う」「こんなはずではなかった」という気持ちを感じたことが無いのです。当時の私が何にも考えていなかったのか、はたまた、潜在意識にあったイメージと奇跡的にフィットしていたのかはわからないですが、「スキル的な苦労」はあっても仕事や会社が嫌だと思ったことは、ほぼほぼないです。
ただ、学生時代にExcelやPowerPointを使ったことがなかったので、その操作には苦労し続けています。(笑)
それに加えて、財務会計や業界の知識など専門的な領域となると、いよいよ無力さに打ちのめされそうになる毎日でした。また、些細なことで注意されて、何で私ばっかり…と拗ねそうになることもありましたが、落ち込んだ後の弾力性(回復力)は良い方で、怒られても、ばかにされても、”一生勉強、一生青春!!”とか思えてしまう若造でした。
上司はとても厳しく、手厚く教育してもらうと言うよりはダメ出しされることばかりで、出す資料出す資料「0点!!」といって突き返される日々でした。いくらやっても数字が合わない、夜な夜なクリスタライズしすぎてわけがわからなくなる日もしばしばで、泣きながらタクシーで帰っていた日々もありました。
それでも続けられているのは何故か?と良く聞かれますが、「人を高めるのは苦悩ではなくて回復である」という言葉もあるように、大きく落ち込むんですけど、その分だけ回復して強くなってきたからだと思っています。とても楽観主義なのかもしれませんが、如何に回復するかで人は成長し、壁を乗り越えるのだと自分では納得しています。
ホントは、褒められて伸びるタイプだと思っているんですけど。(笑)
今は、こんな私に手を焼きながらも我慢強くここまで育ててくれた組織と上司に、ただひたすらに感謝の気持ちでいっぱいです。

現在の仕事でやりがいを感じていることは?

事業再生の案件は、色んな業種に関われるので、それが楽しいです。そして、念願叶って現在はアパレルメーカーの案件に携わっています。私の興味の強い小売業界でも、特に予測や施策モニタリングの難しい分野を担当し、消費性向の変化や、それに合わせたサービス価値の向上を考えることの複雑さと面白さを体感する毎日です。
これまでは、橋梁・科学・半導体・鉄鋼等々、そもそもは馴染みの薄い業界の案件に携わることも多かったです。私にとって必ずしも興味や親和性の高い業界でなかったとしても、毎回必ず(時には時間がかかることもあるけれど)、クライアント先で出逢う沢山の人々、彼らの提供するモノやコトを心から好きになり、ファンになり、それを応援できる仕事は非常に魅力的です。このときめきを大切にしているからこそ、失敗しても落ち込んでも、熱意を失わずにいられるのかもしれません。
「佐藤さんがいると元気が出る」とか「安心する、前向きになれる」とか、そんな気持ちになって自社の再生に当たってもらえるよう、常に彼らと全力で向き合うことが私のモットーです。経営陣や、勤続数十年の方々と会話をすることも多いため、常に教えて頂く姿勢、謙虚さを忘れてはいけません。その中で相手に少しでも心を開いてもらい、より多くの情報と前向きなアイディアを引き出すためには、同じ目線や同じ立場で、一緒に考える時間を共有することだと思っています。
「失敗したのではない。上手くいかない方法を一万通り見つけただけのこと」というエジソンの有名な言葉があります。私は常にこの気持ちでクライアントに接し、納得する着地に至るまでは諦めない、負けない姿勢を伝え続けたいと思っています。

今後どのようなキャリアを積んでいきますか?

案件に入ると、「真のクライアントは誰か」という大命題を常に考えさせられます。私たちの仕事は、利害関係者が非常に多いことが特徴の一つなので、多くの関係者とのコンセンサスを取る難しさを痛感することも多いです。経営陣、従業員、株主、銀行、債権者(仕入先)、債務者(販売先・消費者)等々。個人商店佐藤永織にとっては社内の上司や同僚、後輩であってもクライアントとなり得る存在であり、誰の目線に立って今の難題をクリアすべきかを都度都度考えています。相手の気持ちを理解して、より良い解決策にできる限り早期に辿り着けるように、様々な人の目線で物事を見て、それぞれの立場に立って物事を考えられるようになることがステップアップの鍵だと考えています。突き詰めると「スピードとクオリティ」の絶妙なバランスを取れるような目線を養いたいです。
今後は自身のスキルアップに加え、だんだんと先輩として上に立つ場面も増えてくると思います。そういう中でも、私は他者に対し、「声を挙げて賞賛し、声を和らげて咎める」、そんな凛とした柔らかさを忘れずに進みたいです。
そして、今後も長くキャリアを積み重ねて行く上では、多忙さの中でも自分メンテナンスを怠ってはだめです。「人生にとって健康は目的ではない。しかし、最初の条件なのである」という言葉を胸に、心と体に適度な休養を与えながら、キャリアを積み重ねて行きたいですね。

PwCで働きたいと思っている若い人に、応援とアドバイスをいただけますか。

ある上司に、人生におけるABCという言葉を教えてもらったことがあります。それは、「(A)当たり前のことを(B)バカにせず(C)ちゃんとやる」というイロハ的な意味で、今でも自分の戒めにしています。
学生の方々も、大学で専攻した得意な知識や経験があるかも知れませんが、それが反対に「慣れ」となって自身の成長の妨げになってしまうかも知れません。そこで、もう一度ゼロベースで考えてみること、基本を大切にし学び続けること、謙虚であることを人生のABCとして心がけていけば、必ず自分の人生は豊かになると思います。そしてもう一つ、私も大学生、社会人へと人生をステップアップする中で、本当に沢山の人々と関わり合いを持つようになり、その一つ一つが本当に大事な出会いに繋がっています。人脈は自分の財産です。一期一会を大切にして下さい。

これだけは誰にも負けない得意技はありますか?

まだまだ得意技と言うには程遠いですが、どんなタイプの相手に対しても、ふわっとするっと懐に入り込みたいと思う気持ちは負けたくないです。
夏目漱石の「愛嬌というのはね、自分よりも強い物を倒す柔らかい武器だよ」という言葉が大好きで、仕事で会うどんな立場や考えの方とも、自らのコミュニケーション力で溶け込んでいきます。
しかし、その自信を持つようになるまでには、かつての上司に厳しい指摘を受けたこともあります。それは「仲の良い人、好きな人、得意な人とスムーズにコミュニケーションが取れることは当たり前。嫌いな人、苦手な人に対して、それが分からないくらい前向きにコミュニケーションが取れることこそが、コミュニケーション能力なのではないか」という意見でした。その言葉にハッとさせられ、またそれまでの自分の考え方を少し恥ずかしく感じました。けれども、その指摘があったからこそ、コミュニケーションとは何かを自分なりに考えて、今があるのだと思います。