近年、多くの企業で資産横領、粉飾決算などの不正、食品や原材料の不当表示、インサイダー取引、個人情報の窃盗まで、さまざまな企業不正・不祥事が報道されています。不正の発生を未然に防止するためのさまざまな取組や内部監査機能の充実に向けた取組が行われ、不正の早期発見を目的とした内部通報制度の導入も定着しつつあります。内部監査や内部通報を端緒にして不正の兆候が発見されるケースも多くなっていますが、不正の兆候を発見した場合に企業がどのように対応するかによって、その後の明暗が分かれることは周知の事実です。
PwCフォレンジックサービスは、不正の事実確認や範囲、損害額の算出にとどまらず、初期情報の取扱い、調査チームの組成、調査範囲の決定、調査の実行、発見事項の分析、背景と原因の究明、ディスクロージャーの方針決定、監督官庁への報告、再発防止策の策定など、高度な専門性が求められる不正・不祥事発生時の対応に関し総合的にサポートします。
また、PwCはIT技術者で構成されるフォレンジック・テクノロジー・ソリューションズ(FTS)チームを有し、世界各地にある調査研究室や最新の専門技術を用い、事案の解明に必要な電子情報の効率的な取得・保全・分析・処理などを行います。
売上の水増し、収益・費用の計上時期の意図的な調整などの決算操作をはじめ、架空売上、循環取引からデリバティブ取引や証券化スキームを利用したものなど不正会計の手法はさまざまです。近年、不正会計の手法が巧妙かつ複雑化しており、証憑書類の表面的な確認だけでは発見が困難な場合が増加しつつあります。PwCは、書類調査、データ分析、電子メール調査、取引先を含む関係者へのインタビュー調査などを組み合わせることにより、数々の不正会計の実態を解明してきました。
| 依頼会社 | H社(情報通信業〔日本〕) |
|---|---|
| 調査対象会社 | I 社および子会社Ia社(情報通信業〔日本〕) |
| 調査対象期間 | 40カ月 |
| 調査期間 | 15週間 |
| 粉飾金額 | 8,600,000,000円 |
情報通信業を営むH社は、買収したI 社の従業員から事業部の一部が売上金額の水増しを目的とした、不適切な取引が行われているとの内部通報を受けた。内部通報の情報に基づき調査を実施したところ、実態の無い架空売上、および取引先と共謀した循環取引が発見された。また、循環取引を利用して在庫の評価損計上を回避していたことも判明した。
《架空売上, 売上水増しを目的とした循環取引》
①証憑書類を確認したところ、書類の不備およびデータの不整合が存在した。分析の結果、実在する取引先を利用した架空売上、取引先を利用した循環取引がおこなわれていることが確認された。架空売上では、実在する取引先A社の名義で売上を計上しており、原価には処分を予定している滞留在庫を用いていた。架空売上より生じた売上債権の回収には、取引先A社に対するほかの売上からの回収を充当していた。回収を充当した売上については、またほかの売上の回収を充当するという行為を繰り返すことにより架空取引を隠蔽していた。
②証憑書類については全て完備されていたが、メールレビューの結果から、循環取引の事実が確認された。取引先を利用した循環取引では、契約の当初から、ごく僅かな利益を乗せた上で買戻すとの条件を取引先に対して提示し、取引先と合意を得た上で実行していたことが判明した。

《循環取引による評価損計上の回避》
I社では、取引先J社からの引合いに基づいて、高額なシステム機器を海外から輸入した。納期がタイトであり、契約の確度も高いと判断されたため正規の受注確定の前に先行発注していた。尚、返品はできない旨の契約を仕入先と締結していた。急激な業績悪化により、J社は事業の一部撤退を決定した。それに伴いI社への発注も取消しとなった。当該システム機器は特殊用途であるため転売が難しく、在庫評価減の対象となる可能性があった。そこでI社は評価減処理を回避することを目的として、以前より懇意にしている取引先K社に対し、連結子会社Ia社による買戻しを条件として、買取りを要請した。

現金や預金の着服から取引先との共謀によるキックバックの受領など、会社から不当に利益を得る手口はさまざまです。近年内部統制の整備が進んでいますが、管理が徹底されていない部門、支店、子会社などにおいて、不正が長期間発見されず、大きな問題に発展するケースが後を絶ちません。これらの問題については、最終的には、横領罪、背任罪などの刑事事件として警察などの公的司法機関の手に委ねることになる場合も少なくありませんが、その兆候をつかんだ企業は、株主、投資家などの利害関係者への説明責任をタイムリーに果たすべく、早期に事実の把握、原因分析、再発防止策の策定が必要となります。PwCは、これらの事案について、迅速かつ総合的なサービスを提供します。
| 依頼会社 | E社(運輸業〔日本〕) |
|---|---|
| 調査対象会社 | Ea社(上記E社の子会社〔日本〕) |
| 調査対象期間 | 36カ月 |
| 調査期間 | 6週間 |
| 横領金額 | 47,000,000円 |
運輸業を営むE社にて、内部監査を実施した。その結果、E社の子会社であるEa社にて経理・総務担当取締役F氏による会社資金の横領の可能性があると判断された。そこで取締役就任以降の期間についてPwCが詳細な調査を実施した結果、横領の事実が確認されるとともに、取引先G社からキックバックを受けていた事実も発覚した。
F取締役は、自らの管理する会社印鑑および預金通帳を用いて、預金口座から現金を引き出し、着服していた。親会社であるE社の内部監査から自らの着服を隠蔽するために、仮払金、固定資産、従業員貸付金の各勘定残高へ架空の残高を計上していた。着服金額の一部については会社預金口座へ自ら返済した形跡が認められたが、残る大部分については未返済であることが確認できた。F取締役は、また、EA社事務所移転に際して移転先事務所工事費用の請求書を改ざんし、請求額との差額を着服していたことが判明した。
Ea社は会社規模が小さく、F取締役は経理部門および総務部門を統括する取締役であった。F取締役はEa社移転の際に、新事務所で使用する什器備品の発注を、以前より懇意にしている取引先G社へ市価よりも高額な金額で発注し、G社からの金銭的な見返りを受け取っていた。

公務員に対する贈収賄については、近年、各国の司法機関や証券取引委員会などによる取り締まりが厳格化の傾向にあります。米国海外腐敗行為防止法(Foreign Corrupt Practices Act; 以下、「FCPA」*)を中心とした贈収賄に対する厳格な規制は、今や世界的な潮流となり、日本企業においても過去における悪しき取引慣行を断ち切らないと、厳罰や企業価値の低下などを招き、企業の存続を揺るがす事態に発展する可能性もあります。特に、民間セクターと明確な区別がなされていない公的な組織が存在しているなど、法律や各種制度が整備途上の発展途上国や新興国などで事業を展開するFCPA適用対象企業には、予想が困難な重大なビジネスリスクが存在しているといえます。PwCフォレンジックサービスでは、PwCがグローバルで蓄積したFCPAに関する調査手法や豊富な事例、経験を基に贈収賄全般に関する調査を実施し、重大な問題に発展する前に問題解決に向けた支援サービスを提供します。
公正な商取引などを目的として、1977年に米国で制定された外国公務員などに対する贈賄などを禁止する法律です。同法の対象となる米国企業、米国でビジネスを行う日本企業(特に米国証券取引委員会(SEC)の登録企業や主要な事業所を置く日本企業など)にとっても対応が必要となります。
FCPAにおける主な領域は、以下の2つです。
企業買収・合併など重要な意思決定時に、財務デューデリジェンスを行うことは常識化していますが、外部の第三者によるデューデリジェンスを省略する比較的小規模企業を買収する場合や、外部による財務デューデリジェンスが実施されても、時間的、予算的制約から金額的重要性の低い項目に関する検証は十分行われない場合も想定されます。 しかし、たとえ小規模会社を小額で買収する場合や小額の取引であったとしても、買収先などの企業がFCPA違反、原材料偽装・環境関連などの法令に違反した取引を行っているような場合、買収後にその事実が発覚し、社会的信頼性の低下や財務的損失など思わぬ大きなダメージを被るリスクが存在しています。PwCフォレンジックサービスでは、PwCがグローバルで蓄積した調査手法、フォレンジックテクノロジーを活用しFCPA違反そのほかの法令違反などに関するレビューサービス(フォレンジック・デューデリジェンス)を提供するとともに、あらた監査法人と共同でM&A対象の事業所や自社事業所の売却処理の「環境デューデリジェンス」サービス を通じ、企業買収時リスクの低減をサポートします。
また、事業再編の一環として、特にFCPA違反に厳格な態度をとる米国企業などへ、子会社・部門などの売却を検討する場合、独立した第三者の観点からFCPAに関するレビューを受けることにより、買手の信頼感が得られるとともに、買収価格がアップする効果も期待できます。PwCフォレンジックサービスでは、事業売却価値の最大化に向けたセルサイドのサポートを実施しています。
近年、排出基準などの超過や測定データの改ざん問題、再生紙・再生プラスティックなどの環境配慮製品の偽装問題など環境関連の不祥事や「原材料偽装」「産地偽装」「消費期限偽装」などの不正競争防止法違反の問題などが世間を賑わせました。そして、問題発覚時に適切な対応を怠ったことから廃業に追い込まれる企業もみられました。これらの問題に対しては、発生を未然に防止する仕組・態勢構築が重要ですが、万が一問題が発覚した場合に適切な対応をとる事が企業の存続のために必要不可欠です。PwCフォレンジックサービスは、高度な専門性が求められる不正・不祥事発生時の対応に関し総合的にサポートします。
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